昨日は、名介研の研修で新型インフルエンザに関しての研修が開催されました。
今年は、新型インフルエンザへの関心が高く、230名近くの方々が出席されました。ちょうど、台風18号の影響もあり、準備もある中で皆さんが真剣に受講されていました。
今回、講演いただきました先生は、名古屋市緑保健所長の鈴木幹三先生。インフルエンザなどの感染症に関しての第一人者で、今年も最新の状況をご報告いただき、そして、その対策について講演いただきました。
資料の中の用語を抜粋してご紹介させていただきます。ご覧下さい。
「新型インフルエンザ関連用語解説」
名古屋市緑保健所 鈴木幹三
○ 新型インフルエンザ
新型インフルエンザは、新しい亜型のインフルエンザである。過去数十年にヒトが経験したことがない新しい亜型のウイルスが、ヒトの間で効率的で持続的なヒト―ヒト感染により伝播して、インフルエンザの流行を起こした時この言葉を用いる。フェーズ4以上を新型インフルエンザという。
○ 季節性インフルエンザ
通常のインフルエンザのこと。日本(北半球)では、一般的に毎年12月頃に流行が始まり、1~2月にピークを迎え、3~4月に終息する。近年はA型(Aソ連型、A香港型)、B型のいずれか1~3種類の流行がみられている。
○ 亜型
A型インフルエンザウイルスは、ウイルスの表面に赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という2種類の蛋白質がある。抗原性の違いによりHAは16種類(H1~H16)、NAは9種類(N1~N9)あり、それぞれの組み合わせで「H1N1」、「H5N1」などと呼ばれる。
○ 鳥インフルエンザ
一般的に、水禽を中心とした鳥類が保有し、ヒトのインフルエンザウイルスとは別のA型インフルエンザウイルスの感染症のことをいう。近年、H5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスの感染が、アジア、ヨーロッパ、アフリカに拡大し、家禽、野鳥およびヒトを含む哺乳類まで広がってきている。
○ 豚インフルエンザ
豚には、豚インフルエンザのほかに、ヒトインフルエンザと鳥インフルエンザのウイルスが感染することがある。今回の新型インフルエンザウイルスは、豚と鳥とヒトのウイルスが混じったものとされ、「H1N1」に分類される。
○ パンデミック
新型インフルエンザなど感染症が広範かつ急速に、人から人へと感染して広がり、世界的に大流行している状態。
○ フェーズ
世界保健機関(WHO)は新型インフルエンザの警戒水準を6段階に分類し(表1)、2009年6月12日に最高の「フェーズ6」に引き上げ、世界的大流行(パンデミック)を宣言した。
○ 発生段階
国の行動計画では、新型インフルエンザの発生段階に応じて、国や自治体、企業などの取り組みを示している。2009年2月に改定、第1~4段階に分けられ(図1)、現在は第3段階の感染拡大期である(2009年10月)。
○ 第2波
過去の新型インフルエンザ発生時に、一旦流行が終息した後再び流行が起こっており、第2波、第3波と呼ばれる。スペインインフルエンザでは3波、アジアインフルエンザでは2波にわたって世界中に広がった。
○ 抗インフルエンザウイルス薬
インフルエンザウイルスの増殖を抑える薬で、医師の処方箋が必要。タミフル(経口薬)とリレンザ(吸入薬)が使用され、A型、B型の両方のインフルエンザに有効である。
○ 自宅療養
原則として、患者(疑い例を含む)については、医師の指示等に従い、入院措置ではなく、新たな感染者をできるだけ増やさないよう、外出を自粛し、自宅において療養する。療養期間は、発症した日の翌日から7日を経過するまで又は解熱した日の翌々日までとする。通常は安静と休養、水分と栄養補給などにより軽快する。
○ ハイリスク者
妊婦、幼児、高齢者、慢性呼吸器疾患・慢性心疾患・代謝性疾患(糖尿病など)・腎機能障害・免疫機能不全(ステロイド全身投与等)等を有しており、新型インフルエンザに罹患することで、医師より重症化へのリスクが高いと判断される者。早期より抗インフルエンザウイルス薬の投与を行う。
○ 季節性インフルエンザワクチン
現行のインフルエンザHAワクチンは、Aソ連型、A香港型、B型インフルエンザの3種のHA抗原を含んだ混合ワクチンである。
○ 新型インフルエンザワクチン
パンデミックが発生した際に、ヒト―ヒト感染を起こしているウイルス
株から作製されるワクチン。わが国では2009年7月下旬から製造が開始され、10月下旬から接種を順次開始する。
○ PPE(個人防護具)
マスク、ゴーグル、ガウン、手袋等のように、各種の病原体、化学物質、放射性物質、その他の危険有害要因との接触による障害から個人を守るために考案・作製された防護具。
○ 咳エチケット
インフルエンザ患者やそれが疑われる患者に対して推奨される感染対策。
・ 咳やくしゃみをする際には、ティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけ、1メートル以上離れる。
・ 呼吸器系分泌物を含んだティッシュを、すぐに蓋付きの廃棄物箱に捨てられる環境を整える。
・ 咳をしている人に、マスクの着用を促す。
○ 不織布製マスク
不織布とは、繊維あるいは糸等を織ったりせず、熱や化学的な作用によって接着させることで布にしたもの。新型インフルエンザ対策には、不織布製マスクの使用が推奨される。「サージカルマスク(外科用マスク)」は、医療用の不織布製マスクのことを指す。
○ N95マスク
N95マスクは飛沫核の阻止を目的としており、インフルエンザの感染予防策として、日常生活において使用することは想定されていない。
○ インフルエンザ簡易迅速検査
インフルエンザ様の症状を呈す患者の咽頭または鼻腔粘液を採取し、インフルエンザ迅速診断キットを用い行う検査。15分程度でA型かB型の診断が可能である。
○ PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)
DNAを、その複製に関与する酵素であるポリメラーゼやプライマーを用いて大量に増幅させる方法。ごく微量のDNAであっても検出が可能のため、病原体の検出検査に使用されている。簡易迅速検査でA型インフルエンザと診断された場合、季節性か新型かを区別する必要があるときにPCR検査を行い確定する。
○ 感染経路
一般的に病原体の感染経路として、以下の3つに大別される。
新型インフルエンザの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染である。
・ 接触感染
皮膚と皮膚や粘膜・創の直接的な接触、あるいは環境などを介する間接的な接触により感染する。
・ 飛沫感染
病原体を含んだ飛沫(5ミクロン以上)が飛散し、他の人の鼻や口の粘膜あるいは結膜に接触することにより感染する。飛沫は、咳やくしゃみなどで発生し、空気中は漂わず、1~2メートル以内しか到達しない。
・ 空気感染
病原体を含む小さな粒子(5ミクロン以下の飛沫核)が空気中に浮遊し、これを吸い込むことで感染する。
○ 発熱相談センター
急性の呼吸器症状や咽頭痛等のインフルエンザ様症状が出現した場合、ハイリスク者あるいは症状が重篤である時は、原則としてかかりつけ医へ受診する。発熱相談センターは、新型インフルエンザに関する相談に応じ、受診する医療機関が分らない人への医療機関の紹介などを行う。現在は「インフルエンザ相談窓口」と名称変更した都道府県が多い。
○ 発熱外来機能
厚生労働省の事務連絡「医療の確保、検疫、学校・保育施設等の臨時休業の要請等に関する運用指針」の改定によれば、すべての医療機関で発熱患者の診療を行うとされた。発熱外来を設置していない医療機関については、発熱患者とその他の患者について受診待ちの区域を分ける、診療時間を分けるなど、院内感染対策を強化した外来機能を用意して対応する。
○ トリアージナース
トリアージはフランス語で選別を意味する。医療機関において、空間的に発熱患者をその他の患者から分離する方針を採用した場合、病院玄関にポスターを掲示する。発熱患者が病院玄関または受付でその旨を申告した際、トリアージナースが速やかに発熱患者専用待合エリアに誘導する。
○ 感染症指定医療機関
「感染症法」で規定された一類感染症、二類感染症及び新感染症の患者を入院させるための病床をもつ医療機関をいう。一類感染症は第一種感染症指定医療機関へ、二類感染症は第一種・第二種感染症指定医療機関及び結核指定医療機関へ入院させる。
○ サーベイランス
見張り、監視制度という意味。
新型インフルエンザに係る今後のサーベイランス体制を下記に示す。
1)感染拡大の早期探知
・クラスター(集団発生)サーベイランス
・インフルエンザ様疾患発生報告
2)重症化及びウイルスの性状変化の監視
・ウイルスサーベイランス
・インフルエンザ入院サーベイランス
3)全体の発生動向の的確な把握
・インフルエンザサーベイランス
○ 積極的疫学調査
新型インフルエンザ発生事例について、その全体像の速やかな把握に努めるとともに、感染源・感染経路・感染危険因子の特定を行い、感染拡大の防止を図ることを目的とする。「感染症法」に基づき保健所が行い、基本的に症例調査と接触者調査からなる。
○ 公衆衛生対策
公衆衛生上の対策として、社会的距離拡大(Social distancing)と感染経路を遮断するための個人防御があげられる。前者では、学校閉鎖、患者の自宅隔離、接触者の自宅待機、外出自粛、集会等の自粛・延期、企業活動の縮小など、後者では、手洗い、うがいの励行、外出時にはマスクの着用、咳エチケットの実践などを行う。
○ 臨時休業
学校・保育施設等で患者が発生した場合は、感染拡大防止のために都道府県等が必要に応じ臨時休業を要請することが可能である。休校あるいは学年、学級閉鎖などの措置がとられる。発病後ウイルス排泄期間を考慮して、一般的には7日間程度の休校がとられることが多い。
○ 事業継続計画(BCP)
新型インフルエンザが発生した場合、欠勤率が最大40%になることも想定し、職場での感染防止対策を徹底するとともに、重要業務を継続し、不要不急の業務を縮小・中止するため、各行政機関及び事業者において事前に事業継続計画を策定しておく。







勉強させられます。
訪問先にもマスクを着用していくべきかなど、基本的な心がけも我々にとっては重要かもしれません。
2009/10/13 火曜日 @ 8:56:24