概要
平成20年11月7日に公表された「平成20年度犯罪白書」によると平成19年度に起きた刑法犯の認知件数は、2,690,883件、1日に換算すると7,372件の犯罪が日本国内外で発生と報告された。
ここ数年は、減少傾向にあるとは言え、驚くべき状況である。
果たして、ここ名古屋でも犯罪が相次ぐ中、どのような動向が見られるのだろうか・・・。
そこで今回のセミナーでは、他人事として捉えるのではなく、
こうした事件にいつ巻き込まれるか分からない状況だからこそ、
知っておかなければいけない犯罪の真相に迫りたいと思います。
講師
社団法人愛知県安全運転管理協議会
専務理事 玉越清美 氏
プロフィール
中京TV「NEWSリアルタイム」の水曜日コメンテータとしても活躍されており、前職は愛知県警察官として42年間勤続。
常滑、港区、中区警察署長、その後に生活安全部長、総務部長を務める。
NEWSリアルタイムより
http://www.ctv.co.jp/realtime/profile/tamakoshi.html
関連リンク
AAKK(愛知県安全運転管理協議会)
http://www.aakk.jp/
セミナー風景
セミナー内容
■ 事件を解決するには?
事件の犯罪者を捕まえることだけではなく、その根底にあるものを絶つことが重要である。
先日、鈴鹿にておきた2億1千万円の強奪事件がありました。
少し現場説明をします。
▼事件内容
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090318k0000e040027000c.html
この事件にも原因がある。
犯罪方法も然ることながら、警備業務に関して問題が見受けられる。
現場周辺には、JAの朝一などが行われており、白い車などは不審車とはあまり思われない環境がある中で起きました。現金輸送車は、夜間金庫周辺で作業をしており、実証してみると約1分程度で行われた事件も1分14秒かかり、こんなにも早くできるのかというほどの事件であった。
念入りに下見をしたとしても、驚くべき犯罪の内容である。
では、警備員などはどのような対応をしたのでしょうか?
1分で行われていることからも犯罪対策にスキマがあったのではないでしょうか?
本来、現金輸送車は、隣にある駐車場に車を横付けし、現金を運搬します。また、銀行では、道路の前後にカラーボールを持った職員が待機しており、別の職員が警棒などを所持し対応しているのが通常です。
今回の事件では、こうした対応ではなく、現金袋を並べて作業をするなどの状況からしても1つ1つの対策に問題があったのではないかと思われる。
犯罪心理から考えると、拳銃を利用しての犯行のため、現金袋をすべて盗もうぐらいの考えがあったのかと思いきや今回の事件では、2つのみをもって逃亡している。
このことは、この2つの袋に2億近い現金が入っていることを認知しているからこその犯罪だったのではないかとも考えられる。
犯行に使われた車ですが、「ニコイチ」と言われている車になる。ニコイチとは、車自体とナンバーを別々に窃盗し合わせた車になります。
このようにおこなれることで身元が分からないような犯罪になる。
まさにプロによる犯罪であり、外国人犯罪の典型的な例でもあった。
■ 犯罪の増加
さて、景気が悪くなる中で再び、犯罪が増加している。治安の状況はどのようになっているのでしょうか?
全国の昭和50年以降の犯罪の中で、平成14年には、戦後最高の285万件を記録した。
愛知県では、平成15年の22万5千件を最高に減少してきている。
この減少した理由には、対策を打ったことにある。
全国的に平成7年より犯罪が増えたのにはどんな原因があったのでしょうか?
大きな原因はバブルの崩壊にあると思われる。
経済と治安とは緻密な関係があります。
バブル時期に日系ブラジル人など安い賃金で雇用したが、崩壊後、仕事をなくし犯罪に走る傾向があった。
愛知県の22万5千の中で、もっとも多い刑法犯は、「窃盗」である。
8割以上が窃盗による犯罪になる。
また、別の原因として「警察へのバッシング」があった。
警察官への信頼感が薄れ、犯罪が増えたのではなかろうか。
■ 良好な治安を維持するには・・・
治安を維持するためには、施策が必要である。
当時の目標は、
「日本一の生活安全」
「治安創造」
「県民から頼られる警察」
そこでできた条例が「愛知県の安全な街づくり条例」である。
(平成16年4月~)
具体的には、「治安回復アクションプラン」をたて、数値目標をもって取り組んだ。
■ 検挙作業について
検挙率が高い、低いはもう意味がない。
現在、数え切れないほどの犯罪が起きている。その中で、1人の犯罪者(例えば、大泥棒)を捕まえて、判決後重罪になったとしても、残りの多くの犯罪者が犯罪を起こすことは許されるのか?
ではなく、少しでも多くの犯罪者を検挙する方向性をとり、治安を良くすることを目指した。
■ どんな犯罪が増えてきているのか?
1.住宅対象侵入盗(愛知県日本一)
平成20年8,077件
[侵入口]
窓 61.9%
他の出入り口 13%
その他 4.9%
玄関 20.2%
[手口]
空き巣 72.2%
忍込み 23.1%
居空き 4.7%
2.窃盗
平成20年の窃盗犯被害数
件数 110,073件
被害総額 148億
岩倉市の20年度当初予算より多い金額
侵入盗1件あたりの約27万円
3.自動車盗(愛知県ワースト1)
平成20年約4,000件
[地域]
名古屋市 32.8%
尾張部 39.8%
三河部 27.4%
[場所]
駐車場 71.5%
道路上 13.7%
住宅 6.6%
店舗、会社 2.9%
その他 5.3%
[キーの有無]
キーあり 25.6%
キーなし 74.4%
こうした窃盗団の目的は、海外への不正輸出が大半である。
また、一連の流れはほぼ1日で行われており、対策を打つ難しさがある。
窃取後の警戒行動として、防犯気運が高まり、位置情報検索用端末(GPS)装備の車が増加した。車の車種では、以前は、RV車を中心とした被害が多かったが、最近ではミニバンの被害が全体の1/4の25%を占めている。理由としては、先ほどの防犯の活動としてイモビライザーなどの装備が標準化され、盗みやすい車に犯行が及んでいると思われる。
1.ミニバン 25.1%
2.軽四 14.7%
3.セダン 12.7%
4.スポーツカー 10.6%
犯罪者の特徴としては、外国人の犯行が目立つ
平成20年度の検挙数としては、
摘発人員=約2000人
検挙人員=約1250人
女性の犯行を増加している。
[愛知県において来日外国人が組織的に敢行した事件]
H16.5~H17.9 暴力団・外国人グループによる自動車盗事件 46人逮捕
自動車盗486件・車上ねらい等約1,400件
被害額約9億5千万円
H17.11 中国人窃盗団によるサムターン回しの空き巣事件 11人逮捕
空き巣ねらい約340件
被害額約1億7千万円
H17.5~H18.4 トルコ人等のグループによる自動販売機ねらい事件 24人逮捕
自販機ねらい約8,000件
被害額約1億円
H18.5 中国整体院における広域的なスキミング事件 6人逮捕
被害額約7千万円
H18.5 コロンビア人グループによる連続空き巣事件 3人逮捕
空き巣ねらい約50件
被害額約5百万円
H18.6 イラン人グループによる薬物密売事件 5人逮捕
覚せい剤、大麻、MDMA等押収
H17.8~H18.6 ウガンダ人、アフガニスタン人グループによる東海三県自動車盗事件 10
人逮捕
自動車盗約130件
被害額約3億円
車上狙いへの対策としては、
1.見通しのよい外周フェンス
2.出入口チェーンゲートによる出入り口の管理
3.照明設備の増加し、明るい駐車場に
更に、防犯カメラ監視システム、センサー警報システムなどがあげられる。
■ 治安悪化の主な要因
1.日本型組織の崩壊
護送船団方式と呼ばれた日本型組織が崩壊
雇用形態も派遣が増え、その結果派遣切りなどおきるなど過ごしやすい環境の変化
家庭環境が変化
ネット社会への変化
2.暴力団犯罪 ~ 二極化
3.不法滞在外国人の増加と定着
4.少年犯罪の凶悪化
5.組織犯罪と国際テロの脅威
6.情報化社会の飛躍的な進展とサイバー犯罪の増加
7.経済の停滞 ~ バブル崩壊後の長期不況
8.治安体制の不備 ~ 警察バッシングと警察改革の推進
■ 治安回復への取組
国における取組みとして以下がある。
1.警察庁による街頭犯罪等総合対策の推進(H14.9~)
2.緊急治安対策プログラムの策定(H15.8)
3.政府における犯罪対策閣僚会議の開催(H15.9~)
4.犯罪に強い社会の実現のための行動計画の策定 (H15.12)
5.犯罪から子どもを守るための対策の策定(H17.12)
6.子ども安全・安心加速化プランの策定(H18.6)
7.治安再生に向けた7つの重点の策定(H18.8)
愛知県における取組みとしては、
1.県警による街頭犯罪等総合対策の推進(H14.12~)
2.愛知県警察治安回復アクションプランの策定(H15.12~)
↓
安全なまちづくりアクションプラン2009の策定 (H20.12)
3.愛知県安全なまちづくり条例の施行(H16.4)
4.知事による「治安回復元年」宣言と「緊急3か年戦略」の策定等
○ 知事宣言(H18.1)
○ あいち地域安全緊急3か年戦略の策定(H18.3)
↓
あいち地域安全新3か年戦略の策定(H21.2)
○ 県民生活部に地域安全監と地域安全課の設置(H18.4)
○ あいち地域安全県民行動計画の決定(H18.5)
■ 安全なまちづくりアクションプラン2009の概要
<アクションプランの基本目標>
○刑法犯認知件数を前年対比で6パーセント以上減少させる
○侵入盗や自動車関連窃盗などの10の罪種を重点罪種とし、これについて3500人、17000件以
上検挙します。
<犯罪総量抑制・治安向上のための10の重点>
①地域の犯罪抑止力の向上を目指した対策の推進
②街頭犯罪、重要窃盗犯その他多発する犯罪への的確な対応
③重要犯罪等の県民が不安を感じる犯罪に対する捜査の強化
④子ども、女性、高齢者等を犯罪被害から守る保護・支援活動の強化
⑤振り込め詐欺撲滅のための取締り及び被害防止活動の徹底
⑥少年非行防止及び非行集団対策の推進
⑦迅速・的確な初動活動の推進
⑧制服警察官の存在を示す街頭活動の徹底
⑨総合的な薬物・銃器対策の強化
⑩国際犯罪に対する捜査の徹底
■ 愛知県安全なまちづくり条例の概要
<愛知県条例の特徴>
多発犯罪(住宅侵入盗、自動車盗、自販機ねらい)対策の盛り込み
都市計画段階での防犯対策など防犯環境の整備を規定
環境浄化対策等推進地区の指定、及び同地区内の風俗営業者、ビルオーナー等の遵守事項、違反事
業者に対する勧告・公表について規定
防犯上の指針、児童等の安全確保のための指針を策定(H17.7.1施行)
■ あいち地域安全新3か年戦略
目標
県民総ぐるみ運動を展開し、刑法犯認知件数を対前年比で毎年5パーセント以上減少させ、3年間で2万件以上減少させる
3N(ない)スローガン
「犯罪にあわない」「犯罪を起こさせない」「犯罪を見逃さない」
5つの基本戦略
① 防犯意識の高揚
② 地域の防犯力向上
③ 犯罪が起きない生活環境づくり
④ 子どもの安全確保、女性・高齢者等の防犯対策
⑤ 多発犯罪への対応
~19の施策と55の事業を展開
■ あいち地域安全県民行動計画概要
安全なまちづくり条例に基づく「愛知県安全なまちづくり推進協議会」において、 3か年戦略に呼応して
、事業者・地域団体等、市町村、県民がそれぞれの立場から 実施すべき取組事項等を定めたもの
○ 安全なまちづくり県民総決起大会の開催(H18.6)
○ 四季の県民運動の実施
■ 今後の具体的な取組
安全なまちづくりアクションプラン2009の目標達成
新3か年戦略と県民行動計画の目標達成
~ 三位一体となった県民総ぐるみの運動
全自治体における安全条例の制定
子ども、女性の安全対策
非行少年の立ち直り支援 ~ 学校への支援
■ 治安対策の根底にある考え方
三面対策として下記がある
1.人に着目した対策⇒犯罪者対策、被害者対策
2.罪種に着目した対策⇒街頭犯罪や多発犯罪対策
3.犯罪が起きない環境づくり
犯罪には、犯罪原因論と犯罪機会論というものがある
犯罪が起きる機会を抑止する環境を創ることが重要である
例えば、管理された公園では、犯罪はおきません
人の目があるところでは、犯罪はおきません
防犯対策をしているところでは、犯罪はおきにくいです。5分以上かかるようなところでは、
犯罪発生率が減少します。
警察だけではなく、一人ひとりの対策が重要
■ 犯罪から子供を守るための対策概要
○ 全通学路の緊急安全点検
○ 全ての学校における防犯教室の緊急開催
○ 全ての地域における情報共有体制の緊急立上げ
○ 学校安全ボランティア(スクールガード)の充実
○ 路線バスを活用した通学時の安全確保
○ 国民に対する協力の呼びかけ
■ 市民に5つの意識改革
犯罪は、犯罪者からの攻撃である。自分達の安全・安心は、警察に頼らず自分達で守ろう。
犯罪者は人や社会のスキをつく。スキのない社会を築こう。
犯罪激増の背後に犯罪組織がある。防犯活動も組織的にしよう。
子は親の背を見て育つ。親が犯罪を憎み、社会のルールを守り、積極的に防犯ボランティアをして親の背を見せよう
犯罪は永久に無くならない。
防犯活動も明るくよい心で永久に続けよう。







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